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幸せな家庭は似ているが、不幸せな家庭にはそれぞれの不幸がある。
トルストイ「アンナ・カレーニナ」
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幸福学の第一人者である慶応義塾大学の前野教授が提言する「はたらく不幸せ」の条件を満たさない為に気を付けるべきの7つの因子について解説していきます。
3つめの因子は「協働不全」です。職場バラバラとサブタイトルが付いています。
概念定義は、職場内でメンバー同⼠が⾮協⼒的であったり、⾃分の⾜を引っ張られていると感じている状態だそうです。
なお、尺度項目として以下が例示されています。
・私の職場のメンバーは、協⼒し合って仕事を進めようとしない
・私の職場では、特定の⼈の意⾒が押し通される
・私は、職場のメンバーに⾜を引っ張られているように感じる
これも前回の理不尽と同様、実際は他者と同等なのにそう感じてしまうなどの個人差があることは否めませんが、環境要因による不幸だと思われます。
前回の理不尽は主にマネジメント側の要因として取り上げていますが、こちらは良くないマネジメントの結果としての組織の状態を指すものと思われます。
具体的には、メンバーに対するマネジメントの結果が、メンバーに以下のような心理を植え付けたものではないかと考えます。
・自分さえ良ければいい
・他のメンバーのことは関係ない
・自分のポジションを安寧なものとする為に、他の誰かが秀でることは許さない
さて、どうしてこうした組織の状態が導かれるのでしょう?
以前のコラムで「共同体感覚」というものを取り上げましたので、覚えている方もいらっしゃるかも知れません。
コラムの中では、共同体感覚=他者を仲間として捉える意識と定義しています。
この不幸の因子はその反対、他者を敵として捕らえる意識が組織の中に充満した状態と理解することができます。
では、どんな「良くないマネジメント」がこうした事態をもたらすのでしょう?
極端な例として、昔のドラマや漫画などに「周りは全員ライバル」「自分以外は敵と思え」などと煽って、互いに競争させることで成績を上げるような話がよく見受けられたかと思います。
確かに適切な競争関係を持たせることは、モチベーションを高く保つことも含め、よい結果をもたらすことがあるでしょう。
スポーツや音楽のコンクールなどがよい事例です。
しかしながら、前述のような過度の競争関係に置くことは、共同体感覚を育てるにはマイナスにしか作用しません。
競い合って負けたメンバーには、他者からの否定を受けることで、他者の敵視という感情が生まれてしまいます。
協働不全の職場で働く不幸を避ける為には、他者との競争ではなく、メンバーが個々にありのままの自分を受け入れる「自己受容」をいかに作り出していくかが大切なのです。
引用︓パーソル総合研究所・慶應義塾⼤学前野隆司研究室
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