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幸せな家庭は似ているが、不幸せな家庭にはそれぞれの不幸がある。
トルストイ「アンナ・カレーニナ」
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幸福学の第一人者である慶応義塾大学の前野教授が提言する「はたらく不幸せ」の条件を満たさない為に気を付けるべきの7つの因子について解説していきます。
5つめの因子は「評価不満」です。報われないとサブタイトルが付いています。
概念定義は、⾃分の努⼒は正当に評価されない、努⼒に⾒合わないと感じている状態とされています。
なお、尺度項目として以下が例示されています。
・現在の収⼊は、私の努⼒に⾒合っていないと思う
・私は、⾃分の努⼒が正当に評価されていないと感じる
・私の仕事での努⼒は、報われないと思う
様々な評価の内、人事評価は古くて新しい、組織にとって普遍的な課題です。
何故でしょうか?それは、納得解を見出すのがとても難しいからです。
人事評価自体の定義は、社員の成績や能力、態度などを社内の指標に基づいて評価することと、とてもシンプルです。
しかしながら、人事評価で何を指標とするかについては、代表的なものでも、
・成果やプロセスに基づく「業績評価」
・本人のスキルや知識に基づく「能力評価」
・勤務態度や意欲などに基づく「情意評価」
などがあり、更にはこれらを組み合わせて運用されている場合があります。
また、人事評価の手法についても、代表的なものだけでも、
・目標の達成度をベースに評価する「目標管理制度(MBO)」
・上司や同僚などの他者によって多面的な評価を行う「360度評価」
・優秀な社員の行動特性をもとに評価を決める「コンピテンシー評価」
などがあり、更に最近では、人事評価での社員のモチベーション低下を防ぐ為「ノーレイティング」という評価手法もあったりします。
組織のメンバーに、人事評価に対する納得解を得ようと努力した結果が、指標や手法をここまで複雑化させたのは、何ともやるせない感情すら覚えます。
前回のコラムで触れたES(従業員満足度)調査等で、人事評価についての不満が大きいことが判明した場合は、以下のポイントに留意して、人事評価制度の見直しに取り組むことをお勧めいたします。
1)評価基準
・企業の現状と合っているかを確認し、特に現実的でない基準は修正します
・できる限り明文化、具体化を進め、不明瞭さ、あいまいさを排除します
・評価基準は全社に公開します
2)等級制度・報酬制度との連携
・評価結果が昇給や昇格に結びついていなければ、人事評価に意味はありません
3)評価者に対する教育
・評価面談での評価者のフィードバック能力を高めることで、納得感を高めます
引用︓パーソル総合研究所・慶應義塾⼤学前野隆司研究室
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