働き方改革で何を行うか、その取組を決定するにあたり、課題の抽出や真因分析をブラックボックスにしないことをお勧めしました。
前回のコラムで、こうした手法はそれほど難しく行える旨をお伝えしたのですが、お客様からあるご指摘をいただき気付いたことがあります。
「メンバーのレベルはバラバラ、課題や真因と言っても理解は難しいのでは?」
そうなのです。私自身はコンサルタントとして、経営者や働き方改革のリーダーとして、組織の課題解決に常に向き合っている立場の人と話すことが多いことから、共通言語の土台を形成しやすいのですが、そのことが、メンバーとの土台が形成されていることとはイコールではないのです。
例えば、皆さんは問題と課題の違いを明確に説明することができますか?
私がこの仕事を始めた時の最初の気付きはこの違いからでした。
ありとあらゆる改善の基礎なので、この違いについてはネットにも多くの情報がありますが、私のお勧めする説明は以下の通りです。
問題とは広く遍く存在している上手くいっていないこと、理想や思惑、あるべきと異なるものごとの全てです。
これに対して、課題とはその重要性や緊急性を鑑み、解消するべきと判断された問題なのです。
事例で説明するとこんな感じ。
Aさんは、職場の入っているビルが古くてイケテナイのは問題と考えています。
友達が勤めているような丸の内の最新のビルだったら毎日が楽しいかも?と考え働き方改革では、オフィス移転を実現すべきと思っているかもしれません。
一方、会社にとっては、ビルが古いのは事実でも、耐震強度や空調などのファシリティとしての問題がないので、課題とは捉えませんでした。
もちろん働き方改革の課題として計上されることはありませんでした。
いかがでしょう?
あまりこのことについて考えたことがなかったという方は、心の中で問題意識が芽生えた時に、これは問題なのか?課題なのか?と自問自答してみて下さい。
結果、問題ならとりあえず放置しておく、課題だったらその緊急性を考えるなどの習慣を身に付けることで、物事の優先順位を正しく決められるようになります。
少し大変ではありますが、以前のコラムにも記載した共通言語の形成を、働き方改革を機会に進めていくつもりで配慮することが、結果的には早道になるのです。
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